センチメンタルグラフティ外伝「三たび…東京」 歌詞集



 東京の雪       
                     作詞・作曲/秋村稔
                     歌/秋村稔

  
  アパートの 二階の窓を 開けて見下ろせば
  ビルの谷間の 小さな空地も 雪化粧
  ニュースでは 東京に大雪と いってるが
  俺の故郷じゃ この窓ぐらいまで
  毎年のように 積もってた

  街なかの 小学校の 狭いグランドに
  泥の混じった 小さなかまくら 雪だるま
  ふるさとの 冬のこと懐かしく 思い出す
  雪の中でも お互い心には
  温もり抱(いだ)いて 過ごしてた

  これからは しばらく晴れる 予報出てるから
  雪も十日で 大分(だいぶん)とけると 聞いたけど
  東京に やってきてもうすでに 五年経ち
  独りうだつの 上がらぬこの俺に
  心の雪解け いつくるか

 ふたたび…東京
                     作詞・作曲/秋村稔
                     歌/秋村稔


  十五の春から 東京で
  十年暮らすも 出世の芽が出ず 帰ったが
  両親(ふたおや)相次ぎ 失って故郷は
  風が吹きぬける だけとなり
  心すさんで 流れの旅が 始まった

  あの土地この土地 住むごとに
  互いに心を 燃やした出逢いは あったけど
  根っこを張れない 浮草の俺では
  君を幸せに できないと
  未練ふりきり 背中を向けて 立ち去った

  東へ西へと さまよって
  十年ぶりかな 戻ってきたのさ 東京へ
  やっぱり最後は ここの街なんだな
  俺の死に場所と 決めたのさ
  夢をこの手で つかんでみせる 今度こそ


 忘れえぬ街      
                      作詞・作曲/秋村稔
                      歌/TOYS(春日治・夏木幸綱・秋村進・冬野巴)

   
  (進)   夏はねぶたに 燃え上がり
        冬はスキーの 八甲田
        あれはふるさと 俺(おい)らの故郷
  (全員)  ああ 青森は 忘れえぬ街

  (治)   一箱八つの タコ焼きを
        一人一個で 分け合った
        俺も仲間も みな若かった
  (全員)  ああ 大阪も 忘れえぬ街

  (巴)   港を見下ろす 稲佐山
        ふたり夜景を 眺めてた
        今はあのひと どうしているか
  (全員)  ああ 長崎も 忘れえぬ街

  (幸綱)  そして今住む 東京で
        昔を偲ぶ 雨の夜
        いつか もいちど 訪ねてみたい
  (全員)  ああ とこしえに 忘れえぬ街


 バーボングラス
                   作詞/光村むつみ
                   作曲/秋村稔
                   歌/秋村稔
  

  「おでかけですか」「おかえりなさい」
  言ってくれてた あの女(ひと)今どこに
  ふたりで眺めた 星空が
  今でも変わらぬ マンションで
  ひとりグラスに 注ぐバーボン

  ばかだばかだと 悔やんでみても
  過去に戻れる わけではないものを
  ふたりが出逢った あの夜に
  死ぬまで一緒と 誓い合い
  グラス交わして 酔ったバーボン

  これでいいのだと つぶやきながら
  グラス持ち上げ 一杯またあおる
  ふたりは離れて 生きるのが
  互いのためだと この胸に
  言って聞かせて 浸るバーボン


 札沼線
                        作詞/光村むつみ
                        作曲/秋村稔

  雪まつり 二人で見たくって
  東京から 会いに来たけれど
  君が今では 人妻と聞き
  熱い涙が わいてきて
  逃げるが如くに 乗り込んだ
  札幌駅発 札沼線

  雪が舞う 石狩当別で
  乗り継いだ 一両列車へと
  右の野原も 左の山も
  そして心も 冬景色
  中小屋 浦臼 下徳富
  まもなく終点 新十津川

  雪の中 最後の駅に着き
  折り返す ディーゼル見送った
  北は線路が この恋のよに
  白く消されて 終わってる
  思い出捨ててく この駅に
  真冬の一人の 札沼線

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 秋風の青森
                        作詞/光村むつみ
                        作曲/秋村稔    
                      
  里帰り ようやく今できた
  九月も半ばまで 流れたこの土日
  ねぶたは今年も 燃えたとみんなが
  言うけれど
  その夏過ぎ去って 静けさの中
  風も涼しい 青森の街

  木々の葉が 色付き始めてる  
  みんなと遠足で 歩いた八甲田
  奥入瀬渓流 十和田湖目指して
  ゆくバスの
  軋みが呼び戻す あの時あの日
  幼なじみの 青森の秋

  みんなには 一応言っといた
  今度は正月に 何とか帰るよと
  真冬の真白き 景色に思いを
  はせながら
  上りの列車へと 乗り込み…「さらば」
  秋の風吹く 青森の駅

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 七夕夜曲
                        作詞/光村むつみ
                        作曲/秋村稔

  カレンダーめくり 八月に
  なってますます 待ち遠しくなった
  アーケードからは 華やかな
  飾りがぎっしり 下がってる
   
    あなたと二人 一番町の
    ブランドームに サンモール
    肩を並べて 歩きましょ
    来たわ今年も 七夕祭り

  七月七日は 梅雨空で
  星がひとつも 見えなかったけれど
  今夜はどこにも 雲がなく
  織姫・彦星 見えそうね
   
    あなたと二人 街なか抜けて
    広瀬川から 青葉城 
    夜空見上げて 語りましょ
    星と星との ラブストーリー

    あなたと二人 いついつまでも
    それが私の 願い事
    きっと行くこと 誓いましょ
    また来年の 七夕祭り 

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 港の守り神
                        作詞/光村むつみ
                        作曲/秋村稔   

  ランドマークの タワーのもとに
  姿りりしき 白い船
  遠い果てなき 太平洋で
  若い船乗り 鍛えてた
  今は静かに 帆をたたみ
  からだ休める ああ 日本(にっぽん)丸

  今日も山下公園行(ゆ)けば
  姿やさしき 黒い船
  遠くアメリカ シアトルまでを
  潮路越えゆき 幾旅か
  数え切れない 思い出を
  秘めてやすらぐ ああ 氷川丸

  若い船へと その後任せ
  変わる波止場を 見つめてる
  二隻…二隻は 横浜の
  港…港の ああ 守り神

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 急行能登号
                         作詞/光村むつみ
                         作曲/秋村稔

  逢いに来てよと 心で聞いた
  遠いその声 忘られず
  カバンひとつで 土産もなしに
  上野駅から 乗る夜行

    さんざ待たせた 離れてひとり
    詫びる言葉も 浮かばずに
    眠れないまま しらじら明けて
    急行能登号 金沢へ

  街をめぐって 香林坊で
  夜の食事を して別れ
  帰る列車に 金沢駅で
  乗った時刻は 十時過ぎ

    会えただけでも 幸せという
    耳に残った ひとことを
    思い返して 眠りについた
    急行能登号 上野行

    君が呼ぶなら すぐにも行くと
    別れ間際に 言ったけど
    いつになるのか また乗れる日は
    夜行急行 能登号に

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 名古屋エレジー
                         作詞/光村むつみ
                         作曲/秋村稔
 
  雄雌向き合う しゃちほこが
  小雨に濡れてる 天守閣
  ずっとふたりも 一緒だと
  言われたあの日に 戻りたい
  ああ 恋の終わりの 名古屋城

  メイチカ テルミナ ユニモール
  セントラルパーク サカエチカ
  いつもふたりで 肩寄せて   
  歩いた名古屋の 地下街も
  ああ 今はせつない 迷い道

  通りの向こうを 眺めても
  百メートル先 かすんでる
  遠くふたりを 引き離す
  この世の流れが にくらしい
  ああ 雨の名古屋を ひとりゆく

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 ふたりの京都
                         作詞/光村むつみ
                         作曲/秋村稔

  やっと会えたと 肩寄せ合って
  秋の京都を ふたりゆく
  着いた清水(きよみず) みくじを引いて
  明日を占う 地主(じしゅ)神社

  博多女に 武蔵の男
  西と東に 三百里
  文(ふみ)を交わした 二人を招き
  仲をとりもつ 京の街

  加茂の河原の ふたりを照らす
  東山から 昇る月
  水にうつした ふたりの姿
  京の都に いつまでも

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 看板の街
                         作詞/光村むつみ
                         作曲/秋村稔

  川岸の ビルの壁には
  バンザイを しとるランナー
  風の吹く日も 雨降る時も
  いつもいつでも 走ってて
  この俺を はげましとるわ
  ここは道頓堀(とんぼり) 看板の街

  色気より 食い気なんかな
  この俺は 思い当たるわ
  こんなどでかい カニやらフグを
  いつかたらふく 食いたいわ
  アホやなと あきれてまうわ
  ここは道頓堀 看板の街

  しゃあないわ 俺は俺やと
  つぶやいて ひとり歩きや 
  メガネかけとる ピエロが立って
  太鼓叩いて 笑(わろ)うとる
  「がんばりや」 言うとるようや
  ここは道頓堀 看板の街

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 讃岐のひとよ
                         作詞/光村むつみ 
                         作曲/秋村稔

  君とフェリーで 高松発(た)って
  着いたあの島 小豆島
  ふたりたたずむ オリーブ畑
  風のささやき 聞いていた 
  ああ 今も懐かし 讃岐のひとよ

  君とふたりで 屋島の上で
  瀬戸の海原 見下ろして
  「ずっと一緒」と 願いをこめて
  瓦いくつも 投げていた
  ああ 今も愛しい 讃岐のひとよ

  君を背負って こんぴらさんの
  長い石段 本宮へ
  買ったあの飴 ふたりで分けた
  遠いあの日の 甘い夢
  ああ 今も恋しい 讃岐のひとよ

  君と別れた 高松駅で
  『瀬戸』に乗る時 こう言った
  「僕はまた来る 涙をふいて」
  それを果たせず 幾年(いくとせ)か
  ああ 今も会いたい 讃岐のひとよ

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 ああ広島に鳩が飛ぶ
                         作詞/光村むつみ
                         作曲/秋村稔

  いままで何度 来ただろか
  だけど来るたび 泣けてくる
  元安川の 向こう側
  鉄の丸屋根 廃墟を見れば
  ああ 広島に 鳩が飛ぶ

  八月六日 夏の日に
  光の中に 消えたひと
  鳴いて羽ばたく 鳥達は
  親父 おふくろ きょうだいたちか
  ああ 広島に 鳩が飛ぶ

  時代は移り 流れても
  絶えることない 折鶴に
  世界のいくさ 消えるまで
  そこにいてよと 言ってるように
  ああ 広島に 鳩が飛ぶ

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 中洲のギター弾き
                         作詞/光村むつみ
                         作曲/秋村稔

  屋台連なる この街が
  今じゃおいらの ふるさとさ
  聴いて一曲 おやじさん
  俺は中洲の ギター弾き

  止めるみんなを 振り切って
  後にしてきた 田舎町
  博多 天神 さまよって
  たどりついたは この中洲

  恋もいくつか したけれど
  実ることなく 三・四年
  所詮ギターが 恋人と
  落とす涙は 那珂川へ
  
  遠い道でも いつの日か
  メジャーデビューを 果たすぞと
  夢は捨てずに 今晩も
  俺は中洲で ギター弾く

─────

 ふたり・長崎・日曜日
                         作詞/光村むつみ
                         作曲/秋村稔

  路面電車の 一日切符
  二枚買ったよ たっぷり乗ろう
  昨日の雨も すっかりやんだ
  日曜朝の 待ち合わせ
  ふたりが住んでいる 長崎の 
  どこへと行こうかと 寄り添い語る

  南山手の グラバー園に
  今日も見に来た ハートの石を
  初めて見つけ 喜んだのは
  何年前の ことだろか
  たまには喧嘩など したけれど
  ずっと続いてる ふたりの恋は

  日差し明るい この街だけど
  聞くも涙の 歴史も宿る
  西坂の丘 四番崩れ
  吹き飛ばされた 天主堂
  この世で苦しんだ 人たちの
  あの世の幸せを ふたりも祈る

  「どうもありがとう 一日きょうは」
  「それじゃ最後は この稲佐山」
  夜景の中の あそこのあたり
  「あなたの」「君の」家がある
  「お互い明日からも がんばろう」
  誓った長崎の 日曜の夜


 夏草ホテル
                            作詞/光村むつみ
                            作曲/秋村稔
                            歌/秋村稔

  道の左に そびえるは
  二人で行った あのホテル
  通り過ぎれば よいものを
  車降り立つ ひとりの身

  看板の文字 欠けて落ち
  見上げる窓の 割れガラス
  白い壁には そこかしこ
  スプレーの色 ついており
  
  テニスコートは 草むして
  プール 噴水 みどろ池
  ふたりを染めた 夕陽だけ 
  姿変えずに 沈みゆく

  照らすは月の 明かりのみ
  帰らぬ恋の 墓標(はかじるし)
  夏草ホテル さようなら
  またの来る日は ないものを


 秋葉原のブルース
                            作詞/光村むつみ
                            作曲/秋村稔
                            歌/玉野俊男


  東京に来てから あの娘と出逢ったが
  一年もたないで 別れてしまったよ
  ふたりでは 行かなかった この場所は
  あてもないまま ぶらり電車を 降りた街
  ああ ここは秋葉原

  あの娘になんとなく 似ている絵姿よ
  あの娘にどことなく 似ているメイドさん
  湧き上がる 肩を寄せ合い 東京の  
  あちらこちらを ふたり歩いた 思い出が
  ああ ひとり秋葉原

  日暮れて点(つ)きだした ネオンが目にしみる
  そろそろアパートの ねぐらに帰ろかな
  両手には 紙の手提げの 荷物持ち
  胸の奥には 萌える心を いだきつつ
  ああ さらば秋葉原


 ガラスの向こうに
                             作詞/光村むつみ
                             作曲/秋村稔
                             歌/玉野俊男

  パソコンの スイッチを
  帰ってくるなり パチンと入れる
  待ってる間も 心は躍る   
  無事に今夜も また逢えた
  僕の彼女は ガラスの向こう

  桃色の 髪をして
  大きな瞳で 見つめてくれる 
  ささやきかけられ 心は萌えて
  ずっと画面を つけたまま
  僕は彼女と 一晩過ごす
  
  東から 白々と
  明るくなったら 別れは近い
  出掛けてくるよと 心で告げる
  夜が来たらば また逢える
  僕の彼女は ガラスの向こう


 秋の有明
                            作詞/光村むつみ
                            作曲/秋村稔
                            歌/玉野俊男

  新橋駅から ゆりかもめ
  ふた月ぶりかな 乗ってみたけど
  思えば八月 半ばの日
  押し合いへしあい 寿司詰めで
  着いた国際展示場
  あれは真夏の まぼろしか
  秋の有明 ああ 一人わびしい

  リュックと両手の 紙袋
  たっぷり本など 買ったそのあと
  階段登って 見にいった
  鎧にブレザー 巫女服に
  萌えた国際展示場
  今は海鳥 鳴くばかり
  秋の有明 ああ しみる潮風
  
  この秋終わって 年の瀬に
  なったらも一度 ごった返すよ
  北から西から 南から
  さらには太平洋も越え             
  つどう国際展示場
  いずれその時 また来るさ
  秋の有明 ああ しばしさよなら


 あなたが選んだ反物
                             作詞/光村むつみ
                             作曲/秋村稔
                             歌/保坂美由紀

  呉服屋の 家業の手伝い していたら
  一本の 浴衣の反物 出てきたわ
  東京に 今では住んでる そのあなたが
  四年前 私に選んだ 反物が

  この町の あなたが誘った 美術館
  日本画の ところで私に 言ったっけ
  一枚の 名画と着物は 同じだよと
  それを聞き あなたに選んで もらったの

  夏までに あなたが選んだ 反物を
  仕立て上げ 浴衣で花火を きっと見る
  この町に 休みがとれたら もどってね
  川岸で 寄り添い語らう 夢がある


 諭吉さん
                           作詞/光村むつみ
                           作曲/秋村稔
                           歌/保坂美由紀

  そばにあなたが いるならば
  夢が何でも 叶うけど
  ああ 諭吉さん 諭吉さん
  私のこの手を ふりきって
  世間をさすらう 罪な人

  さんざあなたに 泣かされた
  だけど嫌いに なれないの
  ああ 諭吉さん 諭吉さん
  私の願いは ただひとつ
  あなたに抱かれて 暮らしたい
  
  顔がよく似た 別の人
  街にときどき いるという
  ああ 諭吉さん 諭吉さん
  あなたでなければ だめなのよ
  ほんとのあなたが 宝物

─────

 ひとり鷲宮
                            作詞/光村むつみ 
                            作曲/秋村稔
                            歌/玉野俊男

  大鳥居 その奥に 咲く桜
  茶屋で頼んだ 二匹の海老天
  ちらほらと 俺に似ている 人もいる
  初詣から 三月ぶり やってきて
  まったりと 鷲宮神社

  幻の 巫女さんと 知りながら
  今日も訪ねた 電車でひとりで
  ふたりとも 俺の嫁だと 書いてある
  両手に花の 絵馬を見て 苦笑い
  その気持ち よくわかるけれど

  駐車場 花の下 二・三台
  痛い車の 乙女の絵姿
  実物は 俺もさすがに あきれるが
  ここまでくれば あっぱれと ほめながら
  あとにする 鷲宮神社

─────

 磨く剣が
                             作詞/光村むつみ
                             作曲/秋村稔
                             歌/玉野俊男

  磨く剣(つるぎ)が ふたつの月を
  映すこの世は どこの世か
  迷い込んだら 左も右も
  魔法使いの 威張る顔
  知るか頭は 下げられねえと 
  夜が明けたら ひとあばれ

  敵の七万 ものともせぬが
  あの娘(こ)ひとりに 歯がたたぬ
  他のむすめに ついよろめいて
  今日もどやされ 腫らす顔
  悪い癖だと わかっちゃいても
  どうもならない 泣きどころ

  帰る術(すべ)なら あるにはあると
  そんな言葉にゃ 耳ふさぐ
  ここのいくさが おさまるまでは
  逃げはしないぞ とどまるぞ
  おやじおふくろ 待っててくれよ
  馬鹿な息子の 手土産を

─────

 おふくろの金ダライ
                             作詞/光村むつみ
                             作曲/秋村稔
                             歌/春日勝

  庭に建ってる 物置小屋の
  片隅で 眠ってた古い 金ダライ
  俺がおなかに いる時買ったと 聞いている
  産湯使った その日から
  俺の生きざま 見ていてくれた
  おふくろの面影 浮かべるタライ

  寒い北風 体に受けて 
  おふくろが 洗い物してた 金ダライ
  悪い事して 頭をぶたれた 日もあった
  重ね重ねた 親不孝
  底のへこみが 静かに語る
  もう今じゃ孝行 できないけれど

  嫁ももらって 息子も育ち
  この俺も おふくろの歳を 追い越した
  だけど男は いくつになっても 子供だよ
  道をはずした その時は
  空の上から でっかいタライ
  この俺の頭に 落としてほしい

─────
 
 私の勝手でしょ
                             作詞/光村むつみ
                             作曲/秋村稔
                             歌/春日勝

  他にいい奴 見つけなと
  言ってあの人 背を向けた
  うしろ姿に この目がうるむ
  山のカラスじゃ ないけれど
  なくのは私の 私の勝手でしょ

  噂ばなしは 聞いていた
  女何人 泣かせても
  うしろめたくは ない人なのね
  悪い男と 知りながら
  つくしてしまうのは 私の勝手でしょ

  めぐり逢える日 きっとくる
  そばに一生 添える人
  うしろ…うしろは もう向かないわ
  望むこの夢 いつまでも
  追いかけ生きるのは 私の勝手でしょ


 ふるさとは…
                          作詞/光村むつみ
                          作曲/秋村稔
                          歌/春日治

  ふるさとは ふるさとは
  のどかな美しい 港の町だった
  あの日… あの日が 来るまでは
    波はすべてを 奪っていった
    愛する人をも 何から何までも
    戻したい 戻したい
    昔の町へと 戻したい

  向こうから 向こうから
  海の向こうから 魔物がやってきた
  あの日… あの時 忘れない
    せめて三月 十一日の
    十四時四十六分より前に
    回したい 回したい
    時計を逆さに 回したい

  ふるさとで ふるさとで
  春の足音を 聞いてるはずだった
  あの日… あの日が 来なければ
    誰を恨めば 戻るのだろか
    豊かな実りの 大地のあの暮らし
    帰りたい 帰りたい
    どんなに待っても 帰りたい


 春夏秋冬・江戸ばなし
                        作詞/光村むつみ
                        作曲/秋村稔
                        歌/南風亭旅助(秋村進)
 
  桜咲いてる 上野まで
  長屋一同 出かけてく
  お茶け二升に おつまみは
  堅いカマボコ 玉子焼
    それからそれから どうなるか
    お付き合い 願います
    春の噺よ 「長屋の花見」

  玉屋玉屋の 人の声
  ここは両国 橋の上
  供をしたがえ さむらいが
  人を押しのけ やってくる
    それからそれから どうなるか
    お付き合い 願います
    夏の噺よ 「たがや」

  ある日殿様 遠乗りで
  江戸の外れで 一休み
  どこで焼くやら 香ばしい
  魚の香りに 舌鼓
    それからそれから どうなるか
    お付き合い 願います
    秋の噺よ 「目黒のさんま」

  夜の屋台に 客ひとり
  蕎麦は二八の 十六文
  三つ四つに 五つ六つ
  七つ八つで 「なんどきだ?」
    それからそれから どうなるか
    お付き合い 願います
    冬の噺よ 「時そば」

─────
 
 今日は四月一日です
                          作詞/光村むつみ
                          作曲/秋村稔
                          歌/南風亭旅助(秋村進)
 
  今日は四月一日です

  私の好みの 女性とは
  見た目がきれいか お金持ちかです
  たとえどんなに 気立てがよくても
  それだけの人は ダメなんです
  今日は四月一日です

  競輪競馬に パチンコは
  やればやるほど 儲かるものです
  ちょっと負けても 借りればいいです
  いつでもたやすく 取り返せます
  今日は四月一日です
 
  私は嘘は つきません
  嘘も方便 とか言いますけど
  あれもやっぱり 嘘なんです
  嘘は絶対 いけません
  今日は四月一日です


浅草ワルツ
 
 
             

                 作詞/光村むつみ
                 作曲/秋村稔
                 歌/秋村稔・光村むつみ[テイトレコード] 
                   春日治・保坂美由紀[日本クロップ] 

  

  (女)  きっと会わせて 下さいと
       かけてた願(がん)が いま叶ったわ
  (男女) ここは浅草 浅草寺
  (女)  人でにぎわう 境内で
  (男)  肩を寄せるも そのままに
  (男女) 今日からは 二人いつまでも

  (男)  流れ流れた 僕だけど
       帰れるこの日 夢見ていたよ
  (男女) ここは浅草 花やしき
  (女)  手と手取り合い よみがえる
  (男)  遠いあの日の 君と僕
  (男女) 今日からは 二人いつまでも

  (女)  思いこがれた せつなさも
  (男)  笑って言える 今お互いに
  (男女) ここは浅草 演芸ホール
  (女)  望む幸せ 来るように
  (男)  ともに笑顔で 身を寄せて
  (男女) 今日からは 二人いつまでも


 ふたり・長崎・日曜日(デュエットバージョン)

                        作詞/光村むつみ
                        作曲/秋村稔
                        歌/秋村稔・光村むつみ

 (女)  路面電車の 一日切符
 (男)  二枚買ったよ たっぷり乗ろう
 (女)  昨日の雨も すっかりやんだ
 (男)  日曜朝の 待ち合わせ
 (男女) ふたりが住んでいる 長崎の
      どこへと行こうかと 寄り添い語る

 (女)  南山手の グラバー園に
 (男)  今日も見に来た ハートの石を
 (女)  初めて見つけ 喜んだのは
 (男)  何年前の ことだろか
 (男女) たまには喧嘩など したけれど
      ずっと続いてる ふたりの恋は

 (女)  天主堂から オランダ坂へ
 (男)  中華街では おやつとお茶を
 (女)  石段登り 龍馬のブーツ
 (男)  中島川の 眼鏡橋
 (男女) 時計は速いもの ふたりだと
      港の向こうへと もう陽が落ちる

 (女)  「どうもありがとう 一日きょうは」
 (男)  「それじゃ最後は この稲佐山」
 (女)  夜景の中の
 (男)  あそこのあたり
 (女)  「あなたの」
 (男)  「君の」
 (男女) 家がある
 (男女) 「お互い明日(あす)からも がんばろう」
      誓った長崎の 日曜の夜


 春夏秋冬・江戸ばなし(デュエットバージョン)
                        作詞/光村むつみ
                        作曲/秋村稔
                        歌/春日治・保坂美由紀
  

 (女)  桜咲いてる 上野まで
 (男)  長屋一同 出かけてく
 (女)  お茶け二升に おつまみは
 (男)  堅いカマボコ 玉子焼
 (女)  それからそれから 
 (男)  どうなるか
 (女)  お付き合い 
 (男)  願います
 (男女) 春の噺よ 「長屋の花見」

 (女)  玉屋玉屋の 人の声
 (男)  ここは両国 橋の上
 (女)  供をしたがえ さむらいが
 (男)  人を押しのけ やってくる
 (女)  それからそれから
 (男)  どうなるか
 (女)  お付き合い
 (男)  願います
 (男女) 夏の噺よ 「たがや」

 (女)  ある日殿様 遠乗りで
 (男)  江戸の外れで 一休み
 (女)  どこで焼くやら 香ばしい
 (男)  魚の香りに 舌鼓
 (女)  それからそれから
 (男)  どうなるか
 (女)  お付き合い
 (男)  願います
 (男女) 秋の噺よ 「目黒のさんま」

 (女)  夜の屋台に 客ひとり
 (男)  そばは二八の 十六文
 (女)  三つ四つに 五つ六つ
 (男)  七つ八つで 「なんどきだ?」
 (女)  それからそれから
 (男)  どうなるか
 (女)  お付き合い
 (男)  願います
 (男女) 冬の噺よ 「時そば」


 僕が暮らしていた街よ

               作詞/光村むつみ
               作曲/秋村稔
               歌/南風亭旅助(秋村進)

  幼き日々の よろこびは
  待ちに待ってた 遅い春
  北国 青森 仙台 札幌
  ああ 僕が暮らして いた街よ

  そびえる城に 寺の鐘 
  遠い歴史に 憧れた
  思えば 大阪 京都に 名古屋も
  ああ 僕が暮らして いた街よ

  平和を願う その心
  子供ながらに いだいてた
  涙の広島 祈りの長崎
  ああ 僕が暮らして いた街よ

  転校しては 恋をした
  あの娘この娘が 懐かしい
  金沢 横浜 高松 福岡
  ああ 僕が暮らして いた街よ

  流れた末に たどりつき
  腰をおろした この街で
  心にえがくは 立身出世か
  ああ 僕が住んでる 東京よ


 遠い街のあの娘
                
                作詞/光村むつみ
                作曲/秋村稔
                歌/南風亭旅助(秋村進)

  月火水木 一日ごとに
  つのる想いに 堪えしのび
  やっと金曜 夜がくる
  昔住んでいた 遠くのあの街の
  あの娘に会いたくて
  東京駅で 切符買い
  ひとり乗り込む 終列車

  好きさ一番 土曜日が
  なにせあの娘と どの日より
  長く一緒に いられる日
  街の公園で ベンチに腰かけて
  思い出語り合う
  ふたりが肩を 寄せたまま
  時が止まれば いいものを

  名残惜しいが 日曜の
  夕陽西へと 沈んだら
  つらい別れが やってくる
  次の週末も 必ず行くからと
  ひとこと言い残し
  面影胸に いだきつつ
  遠い街から 東京へ


[アルバム]秋村稔・光村むつみが唄う 十二都市、そして東京

 <曲目>

  @東京の雪      秋村稔
 ☆A秋風の青森     光村むつみ
 ☆B七夕夜曲      光村むつみ
 ☆C札沼線       秋村稔
 ☆D看板の街      秋村稔
 ☆Eふたりの京都    光村むつみ
 ☆F名古屋エレジー   光村むつみ
  G浅草ワルツ     秋村稔・光村むつみ
 ☆Hああ広島に鳩が飛ぶ   秋村稔
  Iふたり・長崎・日曜日[デュエットバージョン] 秋村稔・光村むつみ
 ☆J急行能登号     秋村稔
 ☆K港の守り神     光村むつみ
 ☆L讃岐のひとよ    光村むつみ
 ☆M中洲のギター弾き   秋村稔
  Nふたたび…東京   秋村稔

  ☆…新録音



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